(57項、60項に記載されているシナリオの後書きとなります)
本来はもうちょっと長いシナリオ名なんですけども、このタイトルでも十分通じると思うんだ。
というわけでコレで行く。さてコレの後書きをつらつらと書いていきましょう。
駆け足でした。凄く、駆け足でした。どれぐらい急いだかと言うと、シーンと長めの台詞幾つか程削りました。
おるとさんが十一時、あるくさんが十一時落ちって事でしたので、それまでに終わらせるべく敵である『赤ずきんの少女』もかなり弱体化していたりして。
……終わりに近づいてから気付いた事なのですけれども、どのみち通常ペースじゃ日曜日に終わらなかったかもとかそういう事情はさておいて(駄目過ぎる)
やはりGM最大の敵は時間だということを、久々のGM業で痛感致しました……。
急ぎに急いだおかげでなんとか十一時半前には終わり。
今回は劇画のような舞台をご用意しましたが、如何でしたでしょうか。
舞台演出染みた描写を幾つか出してみたり、喋る骨(ボブ)という如何にもファンタジーチックな案内人を出してみたり、
敵が赤ずきんだったり、あの骨も自分で言ってましたが〝さまよえるオランダ人〟という題材のキャラだったり、
一風変わってるな、と感じていただければ成功かなーなんて。
中身は単純なバトルシナリオなのでね、これぐらいの演出ぐらいしておかないとつまらないかなーと思ってちょいと頑張ってみたのです。
『項目を捲る』から、削った台詞やシーンの解説が載ってますのでお暇な方は見ていって下さい。
此処まで作ったんだから、時間とか次回に引継ぎとか気にせずやれば良かったと今更ながら思ってますが、
後の祭り。通常ペースでやったらやったで多分、次回は22時とか半に終わっちまいそうな中途半端な長さなので、まァいいかなと。
どのみち、再開前のシナリオなんで再開後もずるずる引き摺るのも如何かなァと思うし、それで余計ね。
これからGMをやろうかなーとか思ってる皆様方はこうならないようにご注意下さいね。
さてそれでは、物語の残骸、ご覧あれって事で。
(注意:色々長いです)
骨が、『赤ずきん』がオリジナルだのどうのこうのと言っていたシーンにて。
もうちょっと深く掘り下げた話をする予定だった時の台詞集。
(以下、骨の台詞――)
『Le Petit Chaperon rouge または Rotka"ppchen 此処の言葉では『赤ずきん』と呼ばれている話だ』
『今から5410年前、年号にして1697年『フランス』と呼ばれたお国の童話としてこの話は発足したらしい。土着の話と言われたかと思ったら違う国の童話『黒い森の乙女』が元だと言われてみたり、その歴史の中でペロー、ルートヴィヒ・ティーク、ジェームズ・サーバー等数え切れない程の作家の手に掛かってバリエーション豊かになってみたり、歴史を辿ればもう何がなんだか分からねぇ』
『個人的にはティークの戯曲『小さな赤ずきんの生と死』がお気に入り。ホント、昔の話はよく出来てるよねぇ』
『おっと、まァオレの好みは如何でもいいんだ、大事なのはバリエーションの話。今出回っているのは非常にデフォルメされているが……』
『狼の腹を掻っ捌くところが非常にリアルだったり、狼が女の子をあんなにしてみたりこんなにしてみたり逆もあったり、赤ずきんが元気に猟銃で狼をハンティングしたり、アダルティなにゃんにゃんだったりという話もあるのを知っているかな?』
『今でこそ教訓、教示を小さなお子様に伝えるチャチな代物と化しているが、調べてみりゃあ『ウホッいいグロ話!』な話もたーくさん出回ってる』
『それは世界中に広がっていたし、今も何処かで世界中の人に目にされているだろう。勿論目にしていないお方もおろうが、この星がまだ腐るぐらいに人が居た時代からコレはあった』
『そして、本当にそんな事が出来る筈の無い人間も、そんな事が出来る人間も、思いつかない人間もただ興味がある人間も等しく、それを見ていた』
『そうして心の片隅にある嗜虐心を満足させ続けて、早五千年。世界の何処かから発信され、世界の何処かへ五千年もの間溜まり続けていた根暗な心は、ただ根暗なだけであるのなら良かったのに、何の偶然か狂気という方向性を手に入れてしまったワケだ』
『その集大成が〝此処〟と〝彼女〟で、その矛先が〝観客達(キミ達)〟』
『狂った舞台はただただ観客を求めずには居られない、って事さ。ハッハ、まったくもって出来損ないの下らねぇ世界だろ?』
(――以上、骨の台詞)
骨と共に、汚いオブジェやらの道を歩いている途中に登場する筈だった風景の一部に、
『朽ち果てた看板』やら、『焼け焦げた土』、『所々が朽ち果てている家が数件』等等、
総じて廃村のような景色が出てくるシーンがあったり。
道為りに本が沢山散ばっているシーンにて、その中の一角に、
『お婆さんや友人へ向けた手紙が数通』、『砕け散ったワイン』、
等も混じっていたり。本来〝赤ずきんという物語〟には存在しないものが存在しています。
その後骨が、如何にもわざとらしい口調で、
『如何にモチーフがあろうとも身体が無けりゃ、どうしようも無ェ。だけどもまァ、誰かを取り殺す事も出来無ェ。けれど人の心をほんのちょっと、たとえばそうだな』
『人より獣に近いような下種の集団の心を、ほんのちょーっと捻る事ぐらいは出来るんだよなァ、コレが』
とか言ったりして。骨も、如何にまともぶっていようとやっぱりジルの狂気から生まれたんだなっていう、所謂化けの皮が剥がれてくる。
赤ずきんの戦闘シーンにて、彼女が喋る筈だった台詞。
(以下、赤ずきんの台詞――)
『駄目、駄目、駄目、狼さんがやってくるの。駄目なの、狼さんがやってくるの!』
『狼さんが一杯一杯皆を食べちゃうの、沢山沢山、私の優しいおばあさんも、私の楽しい友達のラットやセンスも皆、皆……』
『……あれ? でも、おかしいな。お婆さんもラットもセンスも、耳も口も、大きく無かったの。狼さんだって、あれ、おかしいな』
『変なの。変なの。凄く変なの、だって狼さんはお婆さんに化けてるのに化けて無くて、お婆さんも皆殺されちゃってるのに、あれ?』
『あァ、そうなの。その狼さん達、皆、あれ、違うの、長い耳で大きな口の筈なのに、あれ? 皆、誰もかれも、狼さんじゃなくて』
『村中、火を付けて。村中、殺して回って。結局私も、殺されちゃって』
『アハ、アハハハハ、アハハハハ! 駄目なの、赤ずきんの私は、こんなの、覚えてちゃいけないのに』
『赤ずきんじゃない私は、とっくに、とっくに、殺されてたんだよ……』
(――以上、赤ずきんの台詞)
此処等で察しが良くなくとも、大幅にネタがバレていきます。
倒した後、もしくは捕縛した後に身の毛がよだつような奇声が何処からともなく聞こえてきて、明らかに正気を保っていない人間が、
とある村を焼き討ちにしているシーンが映画のように展開します。
略奪でも何でもない、ただ滅ぼすために行動している人間も、村を廃村にしたところで全員死亡。
その後吹き曝しの村には、黒い何かがが這いずって来て、一人の少女に寄生する。
其処からその少女は、歪な身体に変化して、歪な空間が出来上がって、ついには皆の居る空間となる。
問答無用でぶっ倒しても、捕縛してもその後骨が出てきて、可笑しそうにネタバレしてくれます。
(以下、骨の台詞――)
『アアアァァァヒャハハハハハ! だーから言ったろうがァ。モチーフがあっても身体がなけりゃあ意味が無いって』
『ならどうすればいい? ならどうすれば作れる!? 何処を如何弄くれば、たンのしィィィ舞台を作り上げられる!?』
『裏方の仕事から此処まで作るのにはホンッッッット苦労したぜェ?』
『いィやまァ正確にはオレがやったんじゃねぇんだが、オレ等の中にある狂気の共通認識っつうのかなァ? まァそんなもんが必死こいて考えてだ』
『狂気が先ずは形になる、負の心。教えてやったろ、五千年間溜まりにたまった概念を吸収して、モチーフ(型)にする』
『次は姿を取らなきゃいけねぇから姿、肉だ。世界に居続けるための肉を得る為に、モチーフに沿った生き方してるヤツ等探してー』
『出来ればより絶望的な死に方をしたほうが定着し易いんだが、とは言え其処まで贅沢出来ねぇし、一度形を得た以上はさっさとやらねぇとな?』
『で、パパッと候補見つけて、その候補一応全部ぶっ壊して、その中から一番絶望の強い死体を見つけ出して、取り付いて、』
『さぁコレで出来上がり。絶望が狂気を加速させ、狂気が絶望を途切れさせる事を許さず、膨れ上がる闇に飲み込まれた人形と、人形が人形であるが為の舞台の完成だ』
『ハッハッハッハ、良かったよかった。舞台は終わらなけりゃ意味が無ェが、ちっとばかし強く設定しすぎて中々終わらなかったとこなんだよ、ハッハッハ!』
(――以上、骨の台詞)
とまァ、ド外道なことを面白おかしくしてるつもりで語ってくれます。
いいキャラしててもフランクでも、所詮はジルの狂気から出来上がった化け物の一角。まともな性格しちゃいません。
問答無用で『赤ずきんの少女』を殺していたら、此処で終わりです。非常に後味の悪く、かつこんな悪夢を振りまく馬鹿野郎なジルは何時かしばいてやろうという感想を抱かれると思います。これを動機の一種に、ジル・シナリオを参加の方向へ向かせようと目論んでいました。
ジル・シナリオにおいては、ぶっちゃけた話皆さんが参加する動機が薄いだろうと思ってるので、いい動機の一つなるかなーなんて。
……皆の性格考えると怪しいっちゃ怪しいですが、確率が上がる可能性があるのならやっておかないと(とーいめ)
で、次。殺していた場合とありましたが、何らかの理由で捕縛していた場合は更に続きがあります。
このシナリオにおいては『赤ずきんの少女』は大抵、ワケの分からん台詞しか言いませんので、
また骨が喋っています。ボブ、この風月投稿所企画TRPGの歴史上でかつてない程喋るいい機会でした(過去形)
この機会は、本来の骨登場シナリオに回すとします。うざいぐらい喋り捲ります(コラ)
(以下、骨の台詞――)
『あー、笑った笑った。こんなに面白ェ見世物があるから、オレもそう簡単に第二の人生降りられねぇんだよなァ』
『後は皆様の後味悪そうな顔見て退場しようかと思ったんだけど、その、何だ。舞台後片付けはやるつもりだったんだけど、役者の片付けはちょっとなァ』
『しかも役割を終えた済し崩しの粕だ。どうしようも無ェわ、価値的にはゼロ』
『おっと、そう怖い目で見てくれるなよお客さん。ちゃんと続きあるからネ? 此処からボク、ツンデレタイム入るんですヨ?』
『オレ等、つーか其処の赤ずきんも理解してるだろうが、役目を終えたヤツには用がない。用が無いから、意味が無い』
『だからってポィ捨てはポリシーに反する。役目を果たした粕に失礼だろ、ソレ? だからまァ、なんだ。用も無くなったし、帰らせようかな』
(――以上、骨の台詞)
此処で骨、さっきまでの単純悪党路線から車線変更したかのような事を言っています。
皆さんの九十九の鍵の力を少々お借りして、彼言う所の〝役目を終えた残り粕〟の本体こと、彼女の死体に取り付いていた狂気そのものを破壊。
少々恩恵が強すぎて(注:骨が焦げつくぐらい)、残り粕だけ抽出されて、今まで活動していた概念だけが彼女に残されるという不思議事態も発生。
まァ難しく言いましたが、ようは生き返ります。元々死後硬直さえしていない時期から身体の時間が停止していただけなので、九十九の鍵に掛かればあら不思議ってなもんです。
そこで舞台は砕けて、キャンピングカーがある枯木林に戻って、
その境遇に塞ぎこむ元・赤ずきんを、とりあえず街まで同伴という形で連れ添って、エンドとなる。
予定でした。
以上、かなり長くなった舞台設定、削られたNGシーン集はこれにて終了。
我輩、今回の『急ぎすぎは良くないね♪』という教訓の元、またこんな話やろうと思ってますので、
その時こそじっくりとっぷりお楽しみ頂ければと思います。それでは、今回はこの辺で、締め。
P・S
次回更新時、骨の事を語ります
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