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此処はこのブログの管理人・黒斗の一室。日々の雑談を記している時もあれば風月投稿所にて行っているPBC『Babel』の話をしている事も在る、そんな一室に御座います。

2025 . 02
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    HN:
    黒斗
    性別:
    男性
    趣味:
    料理全般(専ら食べる方だけどもね)、酒、煙草、コンビニで週刊誌の立ち読みは既に日課、紅茶、等等
    自己紹介:
    この画像みたいな悪党面も悪どい笑いもしていないので注意。髭と顔が濃いのは認めざるを得ない
    最近は特に肩身の狭い喫煙者。
    ついったー
    水球時計
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    ※楽天ブログにて掲載されていた作品のリメイクです※
    『奇妙な出会いに野次馬な興味、それと奇妙な漢と世間知らずのお嬢様』
    『第一幕:ゼクシオン・ノルディ』
    ※本文は『項目』を捲るからどうぞ※






    ゼクシオン・ノルディ。
    うむ、我が名ながら気障ったらしいというか源氏名みたいな感じがひしひしだよおとーたまおかーたま。
    いやまァ実際は親父とかお袋に貰った名前では無いのだが、本名だって源氏名チックだから困る。その名前はとある事情で剥奪されてしまっているが一応原型は留めて居るとかいないとか。
    それでも自分のネーミングセンス的に考えてゼクシオンという響きは非常に気に入っている。
    どれぐらい気に入っているかと言われれば、この名前を奇妙といっていいのはオレだけ、という程度には。
    まァ自分で認めている手前、他の方にも変だ如何だと言われた時期もありましたが? 根気良く、我慢強く、誰にでも優しく説得していけば皆分かってくれたよ、うん。
    たまーに手加減間違えて行っちゃいけない所へ召されたり、電源が切れてしまったりと不幸な事故はあったけれど、世の中万事が万事巧く行く訳も無いよねー。
    少々説得が通じず無茶を通した時代もあったので危うく犯罪者に成り掛けた事もあるが、それはさておき。さておきだ、もう触れるな。
    大抵において説得を通していたらこのハンター業界のみならず、ある程度の世界では少なくとも一度や二度ぐらいは聞かれる名前になった筈。ハズなのよ?
    名乗って通じなかったのは此処7~8年で初めてナンダヨネおじさん。いや、新鮮だった。奇妙な名前と言われたのも含む。
    珈琲を啜りながら、窓の中から窓の外を見ているのにも聊か飽きた。思考遊びとか回想に入りそうで入らなかった思考遊びとかも含む。
    フ、回想に入るとでも思ったかね諸君? 甘い、チョコラテのように甘いぞ諸君。
    先程言っておいたろう、万事が万事巧く行くわけが無いと、ざま見やがれHAHAHA!
    ……あまりにメタ発言し過ぎて五千年経っても困るので、等身大フィギュアならぬLP弄ってる何処かの科学オタクが脳裏に過ぎる前に話を戻そう。
    しっかしコレがまた飽きたからって何かやることがあるわけでもないんだよ、コレが。
    ざーざーと能天気に降り注ぐ雨は、雨樋や排水溝を溢れさせるのが余程お気に召したらしく、もう三日は休まず働いている。飽きろよ、寧ろ過労で風神様に訴えてくれよ。ささやかながら提案を進呈させて頂くが、労働法違反でも申告したら如何かね?
    待て、何でこのタイミングで風、強くなるんですか? 風神様、聞いてた? チッ、地獄耳め。 
    まさかとは思うが奇跡的な確立で何処からとも無く風で飛ばされてきた棒切れが直撃するかもしれないので、その前にお代わりの珈琲をさて本日何往復目か忘れたけど入れにいく(少々カフェイン中毒が心配になってくる頃合だ)
    安宿のクセにコーヒーメーカーなんて洒落が効いてて、マジで助かる。
    ――こぽこぽ。沸かして。
    ただ安宿なんて言ってはみたけど、個人的主観から言わせて貰えば、場所が場所ならペンションとして通用すると思うのよ此処。
    ――ごぼこぼ。沸かして。
    組込み式とかいうので一切金具を使ってないとかいう、何処の技術だよとか言いたくなる作りもさる事ながら、演出なのか金が無いのかベニヤも張らずに組込みの木が剥き出しの床も壁も、イイ。なんと言おうか古臭過ぎて一巡しちゃった感じの風情があると思う。
    ――とくとくとく。注いで。
    暇だから此処の再評価なんてことまで通算16回目だけど、気にしちゃあ負けだ。
    ――じわじわじわ。蒸らして。
    惜しむらくは此処が辺境に位置している挙句、追撃効果にイマイチ知名度がない土地柄と来れば寂れるのも仕方が無いのかも。
    田舎町だけに子供が遊ぶような公園程度はあろうものの、大人な男の子が遊べるようなギャンブル系の店や、ましてや女遊びが出来るような場所も無い。
    飲む、打つ、買う。酒を、博打を、女を、まァ、期待はしていなかったもののよくもまァこんな所に宿屋建てたもんだよ全く。
    ご覧の有様ってな感じで客、居ないし。下階に位置している昼は喫茶店、夜はバーなんだか酒場なんだかは、地元のふくよかなマダムとかナイスミドルの憩いの場と化している辺り繁盛してるが、宿自体に人が来るのは珍しいと宿屋のおっちゃんから頂いた有難くも聞きたくも無い確証も得ている。
    道楽商売ってヤツかしらね。
    最早趣味でやっていると言ってもいい此処が潰れるのは忍びないような勿体無いような気もするのでこれからも是非、採算無視してやって頂きたい。
    此処等に来たら是非使いたいしさ、他の宿に浮気なんてしませんともえぇ、この近辺に来たらこの宿使う、絶対使うってうわ、蒸らし過ぎたッ。こりゃちと濃いな、ミルクで誤魔化そう。
    常備されているミルクを味が著しく損なわない程度に多めに入れた後、黒砂糖の塊を一つ。用意するコップは二つ。
    「さて、お代わりは如何ですかなマドモアゼル? えぇ、モノのついでに執事ごっこですが、そろそろお嬢様ごっこでもやらないかね!?」
    別に返されることを期待してるわけじゃないけど、そろそろノッてきてくれてもいいんじゃないかなという依頼人様の前に珈琲を置く。
    しっかし、
    「このままじゃ、進めないよなァ。如何しましょうか、ソフィア嬢?」


    思えば、この時もこんな感じの鬱陶しい雨だった。
    当日も御他聞に漏れず酒臭いし煙臭いし、雨降ってるせいで男臭い酒場の入り口でぽつんと立って、雨合羽片手に塗れた身体を拭いているその様子は、本当になんてことは無かった。姿自体はなんて事のない小娘だってのに、その姿がやけに印象的だったのが何故なのかは未だに分からないが、未だに覚えている。
    例えて言うとすれば? 教育はされているもののイマイチ市勢に疎い、リアルで言うならソレイユの馬鹿貴族の馬鹿子息とかだが、それとは一風変わったファンタジーに出てくるお姫様のような、あァ、いやそれも違うな、もっと簡単な、そうだ。文字通り巣立ったばかりの雛とでも言うべき雰囲気のせいかもしれない。
    ソレが彼女を見た、第一印象だった。何で雛かって? 姫というには少し可愛らし過ぎたものだから。あァ、これは紛う事無き褒め言葉だよ。
    その彼女が、如何にもこんな酒場には似合いそうも無い彼女が、たまたま空いていたオレの隣に座ってマスターと話し、その内容が聞こえてきたのも今思えばよく出来た偶然だ。
    護衛役を探しているのだが、いい人を知らないか?
    その言葉を聞いて、相当物を知らないのだと思ったものだ。普通そういった事は斡旋所に行くべきだろうに、何もこんなところで、と。
    確かにこういった酒場には、そういった仕事人が集まる事もあるし、此処もそのクチではある。
    そんな場所に乗り込んでくる子もたまに居るには居る。
    斡旋所に掛ける金をケチったり、斡旋所そのものを知らなかったりする子、
    割合的には9:1って所だ(後に話を聞けば、後者だと知ったがなんとなーく納得してしまった。後で怒られたけど)。
    どちらにせよ世間知らずは物を知らないし、何より個人契約である以上協会は通っていないから、協会が手を出す事はない。故に悪どいヤツ等にボラれてたりする。ヤツ等も犯罪者には成りたくないので持ち逃げとか馬鹿げた金利とかいう行為は取らないが、結果的には斡旋所に払う金額の数倍は取られたというのも珍しく無い。
    良くてそれであり、悪いケースというならば、殺されるとか強盗されるとか、女の子なら性犯罪系かな? もしくは裏の人身売買とか。
    おじさんも慈善事業でやってるわけじゃないので、ボッタクリはしないけれど、されているのを助けた事は無かった。
    ひどいと思うか? そう思うなら、この業界では生きていけない。優しさと甘さは違うし、此処はゴロツキとかヤクザな世界だ。
    と、偉そうに語ってはいますけど。
    真っ先に話かけちゃったんだよコレが。オレが。彼女に。アッハッハ!
    しかもこう、盗み聞きしてたと思ったら早速とばかりに雛を狩りに近寄ってきた奴等にガン付けて、追い返しまでした。
    『何か誰か、まァ誰でも何でもイイんだけどお探しで? 良ければ斡旋所連れて行ってあげるけれど』
    ボり専門のヤツ等からは冷たい視線を向けられ、そうじゃないヤツ等にまで笑われる台詞まで吐いちまったよボクちん。ホンットもう、人が良いものだからねオレは、あまりの人徳に笑ったヤツ等からもボり専門のヤツ等からも、どうぞお納め下さいとお金まで貰ってしまった。三割ぐらいは彼等の治療費に回して上げるあたりもう、聖人だよな?
    閑話休題(それはさておき)。
    此処はそういうのが集まる酒場だけど、依頼進呈所じゃないんだよとか基本中の基本を歩きながら話しましたとも。
    因みにちょっと無理矢理連れ出しますた。だって後で保安官とか来たら、店のヤツ等の怪我の原因聞かれてしまうもの。事情聴取は長いから嫌いだ。
    一通り説明したあとに、名前が聞けた。
    ソフィア。
    宝石のような綺麗な名前をした、今の依頼人。


    「如何する、と言われましても、その」
    「あーわかった、おじさんが悪かったゴメンすまない許してご勘弁。その顔止めろ止めて止めやがれッ」
    ますます困惑の色を浮かべた後、もういいからと合図すると、会釈してからまた窓へ顔を向けるソフィア嬢。
    申し訳なさそうに、困ったように、目線を下げてほんのり俯いた時に掛かる前髪がより一層醸し出す、ザ・ラプソディ。
    こんな顔されたら余程良心を切り捨てた輩でない限りは効果絶大だと断言出来る。
    わざとやってるんだとしたら、将来は魔性の女に決定打。ホームランよ、しかもサヨナラな。
    ……いい年して、何を小娘相手にあたふたしてるんだか。
    「しかしこの季節に雨がざーざーとはね。大雪しんしんとならなかっただけマシだけれども」
    ちょっとだけズレたサングラスを直しながら、肩を竦める(余談と自慢開始:このサングラスだけはあの顔されても取らなかったぞ、おじさん屈指無かったよららばーい! 他は色々屈したけど:余談と悲哀終了)。
    少しだけ物悲しくなったので、肩竦めがてらがっくりしてると、はて珍しいことにソフィア嬢こっち見てる。
    「私にとっても、雪が降らなくて良かったです。懐かしい以上に、あの白さに目が痛くなりますし、それに嫌な夢も見ちゃいますから」
    更に自分から喋ったと思ったら、またか、またその欝話か。しゃーねぇなぁ、この小娘は。
    「そう言えば、例の連中な。ジーンと思わしき人物は、あのメンバーから離れたようだけど、奴等は奴等で快進撃かましてるらしい」
    今は何処ドコに居る、とは言わないが。
    『五千人殺し』を筆頭にした、総合賞金額なんて数えたくない、ふざけたルーキー共が居ると聞いた。結構有名だ。
    「オレの昔の教え子に、ミユキってのが居てね。今は二つ名まで持っている凄腕なんだが、返り討ちにされたとか。いやはや」
    貧乏なのは知ってたけど、幾ら何でも自分のキャパ超えし過ぎるなよ、と教えてきたオレの立場が済し崩し。
    生きて会えることがあったら、お尻ぺんぺん1265回だ。殺されたとは聞かないんで多分、生きているとは思うが。
    出来ればこのルーキー達とは、お会いしたくないものだけれどね。万が一殺されているようなら、流石に出向かざるを得ないでしょう師匠的に考えて。
    「そう、ですか。やっぱり……」
    「憎まれっ子世に憚るっつってな。やっぱり、そんなもんだよ」
    気持ちは解らんでもない、ごめん嘘、やっぱり解んないや。けど、憎む気持ちだけ持ってても、使う気力が無いんじゃな。
    「……」
    「……」
    しまった、適当に話流そうとしたら余計空気がヘビーにッ。
    いやん、この重圧、ちょっと感じちゃうじゃないか(はぁと)
    ……。
    「よし、それじゃ飯でも食いに行きますか。此処の食堂じゃなくてね、此処に来る前美味そうなパスタの店があったのよ」
    お腹も減ったしィ、パスタ大好きだしィ、何よりこの空気大嫌いだしィ。
    立ち上がってから、上着の着替えだけバッグに詰め込み詰め込み。
    「あ、肉は駄目って言ってたけどパスタ平気だよね」
    ちょっと元気無さそうに頷いているが、よし。
    バッグに詰め込んだ後、ソフィアちゃんがレインコートに手を伸ばしてたのでソレを引っ手繰るおじさん。
    「あ、えと」
    さらに困惑顔をされる前に、一本しかない傘を投げつけるおじさん。
    さらにさらに困惑顔をされる前に、説明だけはしておこうか。
    「女の子に不細工なコート着させて、一人悠々と傘指す男(バカ)が何処に居るんだよ。ほら、行きましょ」


    本日のランチ:
    蟹クリームコロッケ(本物)とエビフライの盛り合わせ。
    明太子とクリームチーズのパスタ。
    玄米パン食べ放題。
    ――あまりに予想外の美味さに思わずテンション上がるオレとソフィア嬢。以後数日のランチは此処で御座いました。



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    Z成分上昇中?

    実に期待していたシリーズが再開したって?
    即読みですよ奥さん。

    さて、前回の文を完全に覚えてるわけじゃあないけど、ゼクシオン成分が上昇していることだけはひしひしと感じた。
    あと若干表現がマイルドになったね。
    結果、お腹一杯になるまでゼクシオンを満喫出来ました。

    なんと言うんだろう、紳士的でありつつかなり冗談を交えながら容赦はないが優しいみたいな、そんな口当たりの文章が好きですよ。
    その口調をもって容赦なく場を暗くするソフィアと何とか上手く会話しようとしているのが、暖かい雰囲気でいいね。
    2人以外は若干冷たい(体温低下の意味で)ようだけど。そこは盛り上げ役の定めということで。
    次回も期待しとります。

    風月 2009/05/15(Friday)17:50:19 Edit
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